千尋とハク





最初にこの映画を見た時は、千尋とハクの関係についてなんにも思わずに見ていました。千尋がハクを助けたいと言った時も「おいおい両親を放っておくんかい。食べられてまうで。」と思ったくらいで、千尋の気持ちについてあんまり考えていませんでした。

ところが、釜爺が突然、「わからんか、愛だ、愛」と言い出すではありませんか。
「え!!愛?!この二人そうなん?!」とびっくりしました。

今までの宮崎アニメの傾向からいって、少年と少女がいれば一つのカップルとし成立しているけど、恋だ愛だを前面に出すことはないという思い込みがあったし(ラピュタのパズーとシータだってビミョーなところですよね)、それに、公開される前に見た予告や宣伝ではハクについてはほとんど触れていなかったので、そんなに重要な人物になるとは思っていなかった、ということもあって、一体どうとらえたらいいもんかと戸惑いました。

なので、その後しばらくは二人の気持ちについて、一体本当はどうなのかと考えていました。ハクの気持ち、千尋の気持ちになりきってあのシーンではどういうことを考えていたのか、とかを一生懸命想像し、いろんな雑誌や関連本を買いあさり、もちろん映画館にも何度も足を運びました。

千尋はまだ10歳だし、ハクは神様だし、なかなか感情移入しきれなくって考え方が定まらなかったんだけど、それでもやっぱり二人の気持ちは「恋」ではないだろうけど「愛」なんだろうと思えるようになりました。

決定打はあれですね。イメ−ジアルバムの「白い竜」という歌の歌詞。

「早く早く もっと早く 私のもとへと」
そして
「愛しい白い竜」

です。これはもちろん宮崎監督自身が作詞されているので、間違いなく千尋の気持ちなわけです。

「愛しい」…
「好き」「愛してる」よりも、切なさを含んでいるような気がします。

そうだよな〜やっぱりお互い愛しちゃってるんだよな〜。とか思いながらも、さらに二人の気持ちについてずっと考え続けました。一体いつから…とかどっちから…とかね。

すると映画を見るたび、というか考えれば考えるたびに感じ方が微妙に変わっていくんですよね。
最初ハクのほうが先に千尋を好きで、それに千尋が応えたんだと思っていましたが、違うような気がしてきました。


ちょっとハクの気持ちになってみましょう。


あの世界にやって来て、本来の自分の記憶を失って、なんの為に自分はここにいて、欲深な魔女の弟子となったのかも忘れ、鬱屈とした惰性な毎日を送っている。

そんな中、ある日突然見覚えのある少女が現れた。

ハクにとっては千尋は希望の光だったんでしょう。会ったことがある少女、つまり千尋はハクが本来の自分を取り戻せるきっかけになり得るかもしれないからです。

この時点でのハクの千尋への気持ちはわかりかねます。不思議なつながりがあるってことは感じていたみたいですけどね。(おにぎりのシーンでそう言っていたから)

で、そんな千尋ですが、ハクが瀕死の重傷を負った時に、自分の危険も顧みず、気がかりなはずの両親のことを置いてまで、ハクのために銭婆の所へと行ったわけです。
ハクは胸が痛む思いをしたでしょう。それはきっと「愛しい」という感情の切なさなんだと思います。

そしてハクも、銭婆の所へ千尋を迎えに行きます。さっき自分を殺そうとした魔女のもとへ。ちなみにこの時ハクは湯婆婆にも「八つ裂きにされてもいいんかい!!」と言われています。
銭婆のところでも湯婆婆のところへ戻っても、ハクは「死」が待つのみだと思った。それでも千尋を助けたかった。

そして銭婆のところ。自分の元気な姿を見た千尋は、瞳を輝かせて飛びついてきた。顔をこすりつけ、本当に喜んでなんのためらいもなく全身でその想いを示してくれた。

(クライマックスシーンのデコこっつんシーンはハクの方からオデコを寄せてきますが、それより先ににこのシーンで千尋の方からオデコを寄せているんですね。最初しばらく気づきませんでした)

そんな千尋を見て、ハクはまたしても胸がぎゅっと痛くなる思いをしたでしょう。

想いが高まっていく。
この時の二人の目は愛しさで溢れていました。


そしてクライマックス。


千尋の口からハクの本当の名が告げられました。

本当の名を取り戻したハクを見て、嬉しくて涙を流す千尋。
その表情はキラキラと光り輝いて、眩しいくらいだ。

想いが溢れて溢れて止まらない。

ものすごい早さで落ちていく二人…
そう、まさに

『Fall in love』

二人は恋に落ちているのです。
漠然とした「愛」から成長し、二人の想いは「恋」という名がつきました。



…………うぁあぁあぁ〜なんとぉ!!二人の思いはやっぱり「恋」だったんだぁ!
と、ここまで思うようになるまで2,3ヶ月かかりました。鈍いですね〜私(^ ^;)

ネット上で「この映画は千尋とハクのラブストーリーなんだ」と言うと頑なに拒む人がいますが、私は絶対そうだと断言します!
あの瞳が恋でないように見えますかいな。


それにしてもこの落下シーンは映画史に残る名シーンだと私は思うんです。
少年と少女が小さな恋を芽生えさせる、そんななんてことない小さな出来事なはずなんです。

でも、幼いがゆえに純粋で一生懸命で、なんの迷いもなく相手を信じている……
二人の目にはまるっきりお互いしか見えていません。まっすぐに、好きな人だけを見ている。
……美しいじゃありませんか〜(T△T)


そして、これから二人で歩いていこうってところなのに、いきなり別れが来てしまいました……

私は、千尋はあの世界での出来事は憶えていないと思っています。
ハクはというと、元の世界に戻れるかどうかわからないし、もし元の世界に戻ったとしても元の「ニギハヤミ コハクヌシ」にはもうなれないだろうし、それにハクも千尋と同様であの世界で千尋に逢ったことは忘れてしまうだろうと思います。

だからこそ余計に、あのクライマックスシーンが切ないんですね…
あんなに感動的に、しっかりと結ばれた二人なのに……

ハクが言った「大丈夫。本当の名を取り戻したから。元の世界に私も戻るよ。」という言葉は、果たして本気だったのか、自分は消えてしまうとわかっていたけど千尋を安心して帰す為にわざと明るくそう言ったのか、どちらなんでしょうね…

私は最初は単純に「へー大丈夫なんや〜」と思っていたんですけど…

もう、気になって気になってしょうがないっす。
宮崎さん、答えをあえて出さない映画にしたのは大正解でしたね。。。
映画を初めて見てもはや半年以上経っているのにいまだに私の心はガッチリと捕らえられたままです。


ところで「結ばれる」っていうのは、どういうことなんでしょうね。
私達人間の感覚で言えば、「結婚して子供を作って生涯一緒に暮らす」ってことになるんでしょうが、ハクにそれが通じるんでしょうか。

だってハクには親がいないんだから、子供を作るなんて観念もないだろうし、
(言ってしまえば単体生物みたいなもの?!)人間の「結ばれる」とハクの「結ばれる」は違うんじゃないかと思いません?

ハク的には、想いが通じた時点で結ばれたことになったのかもしれない。
それだけで満足だったのかもしれない。だから明るく見送ることができたのかな。。。

でもあの時のハクの手には「別れたくない」という想いがにじみ出ていたよな〜。

二人は「結ばれた」んでしょうか。「結ばれなかった」んでしょうか。
それすらもわかりません。。。

でもファンとしては、二人はずっと一緒にいて、幸せになってほしいです(T_T)
お互いがお互いでいる為に、お互いが必要だった(なんのこっちゃv)。
あんなにお互いの存在を求め合っていたのに、ずっと一緒に手を取り合って暮らしてはいけないんでしょうか…

やっぱ切ないよ〜ぉvvvこの二人のことを考えると(T△T)



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